3冊目の単著紹介
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書名:『DNAから見た日本人』
著者:斎藤成也
発行日:科学紀元5年(キリスト教歴2005年)3月10日
出版社:筑摩書房(ちくま新書)
ISBN 4-480-06225-4
定価:本体価格700円+税
筑摩書房のウェブによる本書の紹介
科学紀元5年4月25日 第2刷
科学紀元6年4月10日 第3刷
科学紀元7年6月25日 第4刷
科学紀元9年2月 5日 第5刷
本書の構成
- はじめに ..... 7-10
- 第1章 進化するDNA ..... 11-29
- 第2章 遺伝子でつながる地球上の人々 ..... 31-44
- 第3章 アフリカから追い出される ..... 45-76
- 第4章 日本列島に移り住んだ人々 ..... 77-117
- 第5章 古代DNA ..... 119-134
- 第6章 骨の形からみた日本列島人 ..... 135-151
- 第7章 世界における日本語の位置 ..... 153-174
- 第8章 DNAの個人差がもたらす遺伝的な違い ..... 175-202
- 第9章 「日本人」が消えるとき ..... 203-211
- あとがき ..... 213-215
- 主要な参考文献iv-vi
- 索引 ..... i-iii{新書にはめずらしいでしょう;私が無理を言って入れていただきました}
本書に誤りを見つけられた方は、著者にご連絡いただければ幸いです。
正誤表3(第4刷で修正済み)
- 85頁左から8行目:旧名は紅島嶼 ==> 旧名は紅頭嶼{高倉忠博様の指摘による;6/5/06}
- 195頁右から3行目:177頁 ==> 183頁
正誤表2(第3刷で修正済み)
- 115頁左から1行目:十字猛博士 ==> 十字猛夫博士{金鋒博士の指摘による;6/6/05}
- 184頁右から9行目・左から6行目:O型物質 ==> O型物質(正しくはH型物質){山本文一郎博士の指摘による;5/26/05}
- 188頁左から4行目:男系にのみ受け継がれてゆく。 ==> 男系にのみ受け継がれてゆく(ただし,偽常染色体部分と呼ばれるY染色体の一部はX染色体と組換えをすることがある){山本文一郎博士の指摘による;5/26/05}
- 198頁左から1行目:ADH2遺伝子 ==> ADH1B遺伝子{太田博樹博士の指摘による;5/10/05}
- 199頁右から1行目:酵素の活性が著しく低下している。 ==> 酵素の活性が上昇している。{太田博樹博士の指摘による;5/10/05}
- 199頁右から2行目:(エタノールを分解しにくい酵素を作る) ==> (エタノールをより分解しやすい酵素を作る){太田博樹博士の指摘による;5/10/05}
- 199頁右から6行目:第九番染色体にあるALDH1遺伝子 ==> 第一二番染色体にあるALDH2遺伝子{太田博樹博士の指摘による;5/10/05}
ADHとALDHについて混乱して記憶していたために,198〜199頁に多くの誤りを含んでしまった。まことにはずかしい限りです。第3刷では上記の誤りが修正されるはずです(3/30/06)
正誤表1(第2刷で修正済み)
- 180頁右から12行目:AとGはピリミジン,GとCはプリン ==> TとCはピリミジン,AとGはプリン {恥ずかしながら,自分で見つけたのではなく,共同研究者の学生さんから指摘されました;4/8/05}
- v頁下から9行目:Universisyt ==> University
- ii頁右カラム上から18行目:松永英 115,194 ==> 松永英 116,194
本書に関連してあれこれ
=0009年3月21日 記=
本書が出版されて4年経過したが,満4年の少し前に5刷,累積で2万冊の発行となった。来年には発行後5年が経過するので,今年中に補遺のようなものを作成し,このホームページからpdfファイルをダウンロードできるようにしたい。この5年間の間に新たに発表された日本列島人のDNA研究に関する紹介や,いろいろな関連ウェブページの紹介をしたい。乞うご期待!
=0006年4月2日 記=
出版後1年ほど経過したが,第3刷が出ることになった。これで上記の多数の誤りが訂正されるので,うれしい。もっとも,いろいろな書店でちょこちょこ自分の本をチェックしているが,ほとんど第2刷にあったことがない。でも返品されることなく書店が置いてくれているということでもあるので,それはそれでうれしいが。
本書の記述をもとにして,今度「学士会会報」に「大陸からの道,大陸への夢」という小文を書いた。
また,本書を参考文献としたCafe de Science in Fukuiが,4月21日(金)夜と4月22日(土)午後に福井市内で開催される。
=0005年4月16日 記=
Sayer Saysにも書いたが,本書が重版することになった。
=0005年4月3日 記=
本書が出版されてから,そろそろ1ヶ月が経過した。インターネットで調べた限りでは,そこそこ売れているようで,うれしい。
本書を執筆中の昨年に,本書に深く関係する研究者が3名亡くなられた。ひとりは,コラムでも紹介した宝来さとしさんである。「さとし」の字はちょっとむずかしく,多くの本で,間違えて「聡」になっているが,正しい字は「聰」である。あとのおふたりは,主として骨の形態を研究された,鈴木尚さんと埴原和郎さんである。
宝来聰さんの追悼研究集会が3月11日,ちょうど私の本の出版直後に開催された。パーティで少し話をしろと頼まれたが,本の宣伝をするのもはしたないので,学部時代以降の思い出話を五つほど披露した。享年58才。これからご自身のお仕事を集大成して行くはずだったろう。もしまだ生きていて本書を見たら,「また生意気な本を書きおって」ときっと言ってくれただろう。
本書の第4章でも触れたが,鈴木尚さんの発表した『骨から見た日本人のルーツ』には,似通った内容を扱った樋口隆康さんの『日本人はどこから来たか』でかなり高い評価を受けている鳥居龍蔵の名前を見つけることができなかった。いささかショックだった。鈴木尚さんは,坪井や鳥居などが土器など文化遺物の研究に傾きすぎていると批判した小金井良精の薫陶を受けたので,骨だけに限った彼の本では,鳥居を無視したのかもしれない。鳥居を慕う私としては,やや不満が残る。生前に,鈴木尚さんにこのことを直接お聞きしておけばよかった。
本書を書く際に,二重構造説について,提唱者の埴原和郎さんに直接いろいろとお聞きしようと考え,昨年の7月末にお手紙を差し上げた。すると家族の方から連絡があり,病気なので,会えないとのこと。退院されるのを待ってと思っているうちに,10月はじめに亡くなられてしまった。埴原先生には,学部や大学院での講義を受けたほか,結婚式の主賓として祝辞もいただいたし,京都での研究会でもよくご一緒し,楽しい思い出がたくさんある。
本書のあとがきにも書いたが,埴原先生が書いた『人類進化学入門』(中公新書)を高校生の時に読んだことが,人類学に進むきっかけのひとつだった。高校の図書館であの本を見つけたときの不思議な感覚を,今でもおぼえている。「人類進化学」という言葉は,現在でもあまり使わないと思うが,当時高校生だった私にとっては,ショッキングなほどに新鮮な言葉だった。生物進化にはある程度興味を持っていくつか本を読んでいたし,人類についても,考古学ボーイというほどではないが,古い時代の歴史には興味があった。両者がむすびつくとは,といさんで読み始めたのだが,最初は延々と霊長類の歯の進化の話であり,よく理解できなかったことを覚えている。
本書を,高校3年時の担任だった,故伊藤昭三先生に捧げた。私は,本やまとまったもの(博士論文)を書いたときには,すでに亡くなられた方に捧げることにしている。これまでに,2編の博士論文(米国留学時代と論文博士取得時のもの),1冊の翻訳,および3冊の単著で,計6名の方に捧げてきた。もっと本を書くとしたら,この慣習を続けて行くだろう。
本書のオンライン販売:
本書が以下で紹介されました:
0005年4月13日 読売新聞 科学欄 サイエンス 情報BOX
0005年4月3日 読売新聞 読書欄 新書コーナー
このほか,日刊ゲンダイでも紹介されたらしいです
更新日=科学紀元10年2月28日